岩内の漁師の伝統料理の特産品に深層水が活きる(岩内町)

今日は石塚水産の石塚貴洋氏に
お話しを伺いました。

早速ですが、深層水はどのように使っておられるんですか?
「あわびを加工する最後の洗浄のときに原水を使ってますね。昔は塩水を使ってたけれど、深層水の塩分や清浄性が都合良かったので。
あわびの加工は12月がピーク、でも基本的には年間を通して作っていて、うちの商品はすべて北海道産というところがこだわりだから、春先には松前とか道南のものや、近隣の漁港で上がったもの、ピーク時には利尻のものが多くなるんです。
えぞあわびは暖かい地方のクロアワビの亜種で、小さいけれども味は勝ってると思いますね。あわび専門の業者さんから新鮮なものを仕入れてるから一度に入る量は限られるけれど、仕入れたあわびをひたすら加工し続ける毎日ですよ。
水揚げされたあわびはその日のうちに加工しないとだめで、漁場が近い岩内だからこそできること。あわびの塩辛やえぞあわびのアヒージョとか色々とね、昔は母とパートさん2人でやってたけれど、今はパートさん4人と作ってますね。
深層水の話に戻りますが、「お刺身あわび」。これはもともとこの辺りの郷土料理だった“あわび水貝”を商品にしたもので、きれいにした新鮮なあわびをスライスして、さっと湯通しした道産昆布の細切りと一緒にパックに詰めて、そこに深層水の原水を入れて、それを急速冷凍して出荷する。」

えぇっ、パックのなかにはアワビと昆布と深層水だけですか!?
「そう、シンプルで、高級料亭の上品な味かな。昔ながらの味、っていう話をすると、父が漁師をしていた頃、イカの沖漬けを作ってて、その味が評判になって、そこから石塚水産を立ち上げ、色々な商品を生み出して、北海道の漁師の味っていうか、特色のあるものに創り上げてくれたんですね。そして今の自分がある。沖漬けもそうだけど、あわびの塩辛も、足の早いあわびを塩辛にして日持ちをさせてた、昔からの“漁師版ごはんの友”、まさに父から受け継いだものですね。」

ビジネスの調子はどうですか?
「うちのお客さんは8割が町外の消費者ですね。そのうちの半分が全国の消費者にネット販売で、あとは水産加工品の問屋さん。残り2割が町内のお土産屋さんとかになるかな。
全国から、そう、毎年同じ時期に商品を買ってくれるリピーターが6割くらいいて、それと口コミでの新規かな。問屋さんの扱いはコロナのせいで10分の1くらいに減ってるし、ほんと原価率が普通の会社じゃ考えられないくらいに高いから、儲かるっていうには程遠いですね。」

話は変わりますが、先だって
写真のコンテストで凄い賞を獲られたとか?
「あぁ。ビクセンっていう天体望遠鏡を作る会社がやってる星空フォトコンテストでグランプリに選ばれました。
子供のころから星のことは好きだったんですが、岩内町の観光協会の理事になってから後志エリアの観光にも関わるようになって、4年前かな、共和町から神仙沼のレストハウスの管理を頼まれて、あそこの星空の美しさをアピールしたいと考えて、そこから写真を撮ることを始めたんですよ。周りにまちの灯りが一切なくて、ほんとうに星空がきれいに見えるところなんで…」

またまた話が変わりますが、
元々ミュージシャンだったと聞きましたが…
「そう、札幌の学生時代、僕が作った歌を演奏してたバンドがウケて、僕はギターとリードボーカルですね。メジャーデビューで東京に引っ越して、インディーズレーベルでCDを何枚も出したり、作詞の仕事もしてて、チャゲ&アスカの歌も作りましたね。彼らのために2曲目の作詞をしてるときに父の病気が分かって、13年前かな、それからしょっちゅう東京から戻ってきては父の仕事を手伝いながら1週間岩内で過ごす、そんな二重生活を半年も続けて、結果的に石塚水産を継ぐことになって行ったんですね。
でも東京から20年ぶりに岩内に戻ったとき、高校時代のころすごく賑わっていた漁師町がなんというか、その寂れっぷりには本当に驚きましたね。元気な岩内の復活を目指して、頑張らなきゃって、つくづく思いますね…」

地域おこし協力隊も頑張ります!
お刺身あわび、すぐにでも試したいです。
石塚さん、ありがとうございました。

 

取材日:令和3年3月17日