○岩内町空き家等対策の推進に関する条例
平成30年9月13日条例第16号
岩内町空き家等対策の推進に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、適切な管理が行われていない空き家等及び空き地が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)に定めるもののほか、町民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空き家等及び空き地の活用を促進し、空き家等及び空き地に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 空き家等 町内に所在する法第2条第1項に規定する空家等をいう。
(2) 空き地 町内に所在する土地(原則として農林業用地を除く。)であって、常態として人が使用していない又はこれに類する状態にあるものをいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(3) 特定空き家等 空き家等のうち、法第2条第2項に規定する特定空家等をいう。
(4) 所有者等 空き家等又は空き地を所有し、又は管理する者をいう。
(5) 町民等 町内に居住、通勤、若しくは通学する者又は町内に滞在する者をいう。
(当事者間における紛争の解決)
第3条 この条例の規定は、空き家等又は空き地に関して生ずる紛争の当事者間の合意、訴訟又はその他による自主的な解決を図ることを妨げるものではない。
2 空き家等又は空き地に関して生ずる紛争は、当事者間において解決を図るものとする。
(所有者等の責務)
第4条 所有者等は、その所有し、又は管理する空き家等又は空き地が周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないように、自らの責任において適切に管理しなければならない。
2 所有者等は、当該空き家等が特定空き家等に該当するときは、自らの責任においてその状態を解消しなければならない。
(町の責務)
第5条 町は、この条例の目的を達成するため、第8条に規定する空き家等対策計画の作成及びこれに基づく空き家等及び空き地の対策に関し必要な施策を総合的かつ計画的に実施するとともに、その他空き家等に関する必要な措置を適切に講ずるものとする。
(町民等の役割)
第6条 町民等は、この条例の目的を達成するため、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。
2 町民等は、管理不全な空き家等又は空き地を発見したときは、その情報を町に提供するよう努めるものとする。
(関係機関との連携)
第7条 町長は、空き家等による危険を回避する必要があると認めるとき又はこの条例の施行上必要があると認めるときは、町の区域を管轄する警察、消防その他の関係機関に空き家等に関する情報を提供し、必要な措置について協議のうえ、連携又は委任して対応するものとする。
(空き家等対策計画)
第8条 町長は、法第6条第1項の規定により、空き家等対策計画を定めるものとする。
2 町長は前項に規定する空き家等対策計画を策定するときは、法第6条第2項各号に規定する事項について定めなければならない。
3 町長は、空き家等対策計画を定め又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(空き家等対策協議会)
第9条 町長は法第7条第1項の規定により、町長の附属機関として、岩内町空き家等対策協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 町長は、次の各号に掲げる事項を行おうとするときは、協議会に意見を聴かなければならない。
(1) 空き家等対策計画の策定及び変更並びに実施に関する事項
(2) 特定空き家等の認定並びに勧告、命令、公表及び代執行等に関する事項
(3) その他町長が必要と認める事項
3 前項各号に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関する必要な事項は、町長が別に定める。
(立入調査等)
第10条 町長は法第9条第1項の規定により、町の区域内にある空き家等の所在及び当該空き家等の所有者等を把握するための調査その他空き家等に関し必要な調査を行うことができる。
2 町長は法第9条第2項の規定により、法第14条第1項から第3項までの規定の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に、空き家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。
3 町長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を空き家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、法第9条第3項の規定により、その5日前までに、当該空き家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 第2項の規定により空き家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、法第9条第4項の規定により、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(空き家等の所有者等に関する情報の利用等)
第11条 町長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空き家等の所有者等に関するものについては、法第10条第1項の規定により、この条例の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
2 前項に定めるもののほか、町長は、法第10条第3項の規定により、この条例の施行のために必要があるときは、関係する地方公共団体の必要な情報の提供を求めることができる。
(空き家等又は空き地に関するデータベースの整備等)
第12条 町は、空き家等又は空き地(建築物又は土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第14条までにおいて同じ。)に関するデータベースの整備その他空き家等又は空き地に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(空き家等又は空き地の発生の予防)
第13条 建築物の所有者等は、当該建築物の老朽化、未登記その他将来において空き家等の発生原因となるおそれがあるときは、当該建築物の改修、除却及び登記その他空き家等の発生を予防するために必要な措置を講じなければならない。
2 町は、建築物の保全のために必要な支援その他空き家等又は空き地の発生の予防に資する措置を講ずるものとする。
(所有者等による空き家等又は空き地の適切な管理の促進)
第14条 町は、所有者等による空き家等又は空き地の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。
2 町長は、次条の規定により特定空き家等と判定された空き家等の所有者等に対し、特定空き家等の状態の改善を図るために必要な情報を提供し、又は助言することができる。
(特定空き家等の判定)
第15条 町長は、空き家等が別に定める基準に該当すると認めるときは、当該空き家等を特定空き家等と判定する。
(空き家等及び空き地の活用等)
第16条 町は、空き家等及び空き地(建築物又は土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。
(特定空き家等の認定)
第17条 町長は、第15条の規定により特定空き家等と判定された空き家等が第14条第2項の規定により助言した場合において、なお状態が改善されず、別に定める基準に該当すると認めるときは、当該空き家等を特定空き家等と認定する。
2 町長は、前項の規定による認定を行おうとするときは、あらかじめ、協議会の意見を聴かなければならない。
(助言又は指導)
第18条 町長は、前条の規定により認定された特定空き家等の所有者等に対し、当該特定空き家等に関し、法第14条第1項の規定により、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空き家等については、建築物の除却を除く。次条において同じ。)をとるよう助言又は指導を行うことができる。
(勧告)
第19条 町長は、前条の規定による助言又は指導を行った場合において、なお当該特定空き家等の状態が改善されないと認めるときは、法第14条第2項の規定により、当該助言又は指導を受けた者に対し相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
2 町長は、前項の規定による勧告を行おうとするときは、あらかじめ、協議会の意見を聴かなければならない。
(命令)
第20条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、法第14条第3項の規定により、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
2 町長は、前項の措置を命じようとする場合においては、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
3 前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から5日以内に、町長に対し、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
4 町長は、前項の規定による意見の聴取の請求があった場合においては、第1項の措置を命じようとする者又はその代理人の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。
5 町長は、前項の規定による意見の聴取を行う場合においては、第1項の規定によって命じようとする措置並びに意見の聴取の期日及び場所を、期日の3日前までに、前項に規定する者に通知するとともに、これを公告しなければならない。
6 第4項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
7 町長は、第1項の規定による命令を行った場合においては、標識の設置その他空家等対策の推進に関する特別措置法施行規則(平成27年総務省・国土交通省令第1号)で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
8 前項の標識は、第1項の規定による命令に係る特定空き家等に設置することができる。この場合においては、当該特定空き家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
9 町長は、第1項の規定による命令を行おうとするときは、あらかじめ、協議会の意見を聴かなければならない。
10 第1項の規定による命令については、行政手続法(平成5年法律第88号)第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は、適用しない。
(公表)
第21条 町長は、前条の規定による命令を行ったにもかかわらず、当該所有者等が正当な理由なく命令に従わないときは、次の各号に掲げる事項を公表することができる。
(1) 所有者等の住所及び氏名(法人の場合にあっては、主たる事務所の所在地並びに名称及び代表者の氏名)
(2) 特定空き家等の所在地
(3) 命令の内容
(4) その他町長が必要と認める事項
2 町長は、前項の規定による公表を行おうとするときは、あらかじめ、当該命令を受けた所有者等に意見を述べる機会を与えなければならない。
3 町長は、第1項の規定による公表を行おうとするときは、あらかじめ、協議会の意見を聴かなければならない。
(代執行等)
第22条 町長は、第20条の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき又は履行しても同条の期限までに完了する見込みがないときは、法第14条第9項の規定により、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところに従い、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。
2 第20条第1項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて第18条の助言若しくは指導又は第19条の勧告が行われるべき者を確知することができないため第20条第1項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、町長は、法第14条第10項の規定により、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めてその措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、町長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
3 町長は、前2項の規定による行為又は措置を行おうとするときは、あらかじめ、協議会の意見を聴かなければならない。
(緊急安全措置)
第23条 町長は、第18条から前条までの規定にかかわらず、適切な管理が行われていない空き家等に倒壊、崩壊、崩落その他著しい危険が切迫し、そのまま放置すると人の生命若しくは身体に対する危害又は財産に対する甚大な損害(以下この条において「危害等」という。)を及ぼし、又はそのおそれがあり、その危害等を予防し、又はその拡大を防ぐために緊急の必要があると認める場合で、かつ、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、必要な最低限度の措置(以下「緊急安全措置」という。)を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。
(1) 所有者等又はその所在を確知することができない場合
(2) 所有者等又はその所在の確知に時間を要すると予見される場合
(3) 所有者等が自ら措置を行うことができないと認める場合
2 町長は、緊急安全措置を行った場合は、規則で定める事項を所有者等に通知するものとする。ただし、所有者等又はその所在を確知できないときは、この限りでない。
3 町長は、緊急安全措置を行った場合は、それに要した費用を所有者等から徴収するものとする。ただし、所有者等又はその所在を確知できないときは、この限りでない。
4 町長は、所有者等に経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、規則で定めるところにより、前項の費用の一部又は全部に相当する額を免除することができる。
(過料)
第24条 第20条第1項の規定による町長の命令に違反した者は、法第16条第1項の規定により、50万円以下の過料に処する。
2 第10条第2項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、法第16条第2項の規定により、20万円以下の過料に処する。
(委任)
第25条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。